JAPANとNIPPON
2015年に東欧の国の呼び名が「グルジア」から「ジョージア」に変わりました。それにともない元大関栃ノ心も、法律が変わった次の場所から「ジョージア」出身に変わりました。
「グルジア」というのはロシア語読みなんだそうです。10数年前にロシアとの紛争があった彼の国では、ロシア語読みはやめてほしいと各国に要請していて、何かと手続きがある日本でもやっと変わったということのようです。
とはいえ、現地のコトバでは「ジョージア」でも「グルジア」でもなく、「サカルトベロ共和国(Sakartvelos Respublikis)」。
考えてみれば、日本のことを「ジャパン」と言ってますけど、あれは、マルコポーロが「海の向こうにジパングがある」と書いたのが広まったからとされています。
そもそも「日本」という国の名前も、奈良時代あたりに、日本側が「日本と呼んでね」と中国に要請して認められたということらしいんですね。
私たちも都合よく使い分けていて、日本代表のニックネームも「日本派」「ジャパン派」に分かれているのをご存じでしょうか。
野球は「侍ジャパン」、女子サッカーは「なでしこジャパン」、新体操は「フェアリージャパン」、ハンドボールは女子が「おりひめジャパン」で男子が「彗星ジャパン」、空手が「雷神ジャパン」で、柔道は東宝とコラボして「ゴジラジャパン」です。
一方、卓球はストレートに「卓球NIPPON」、バレーボールは女子が「火の鳥NIPPON」で男子が、
「龍神NIPPON」。数から行くと「ジャパン派」が多いようです。
日本とジャパンを使い分けていて特に不便もないというのは、「中日」と「ドラゴンズ」、「阪神」と「タイガース」lくらいの感覚なのでしょうか。
「イギリス」だって、そう呼ぶのは日本人だけで、本国では違います。ウィキペディアによると「イギリスは、ポルトガル語でイングランドを指す(イングレス)が語源」なんだそうです。語源を知ったら「イギリス人」はちょっと複雑かもしれませんが、日本語ができる英国の方々は自分たちを「イギリス人」と自然におっしゃいます。
ただ、名前の読み方が変わると違和感が半端ありません。
「原語に寄せる」方針が明確にされて、それまで「リーガン大統領」だった人が「レーガン大統領」になったときは、しばらく呼び名が「混在」していました。しかし、これは語頭だけなので割合すんなり移行しましたが、テニスの名プレーヤーで4大大会を何度も制した「ステファン・エドバーグ」が「ステファン・エドベリ」になったときは、語感でどうしても「別人感」があって違和感がずっと続きました。
一方、調査報告や、放送での現地からの報道などで使う「リポート」も、かつては「レポート」でした。いまでも混在していると思いますが、NHKのアクセント辞典からは「レポート」はすでに消えています。
発音のベースに「母国語」がある以上、寄せていくにも限界がありますから、名前は現地読みが主流になっても、国名は今後もスタンダードネームと、本国読みに分かれていくのだと思います。