「燃やす」から「燃やさないでいい」へ
新たな大統領を迎えたアメリカが、温室効果ガス排出削減に向けた国際枠組である「パリ協定」の枠内に戻ってきました。
世界一の温室効果ガス排出国・中国が「2060年“実質”ゼロ」を打ち出し、日本も「2050年ゼロ」を公表しする中で、“ワースト2”のアメリカが加わって具体的数字を打ち出せば、「地球全体の目標」が明確に見えてくるでしょう。
石油由来のプラスチック製品は、今後「植物原料型」のものに置き換わっていくでしょう。というのもマイクロプラスチックの脅威が目に見える形で迫っているからです。見える脅威以上に「見えない脅威」が恐ろしいのは、新型コロナウィルスとの戦いで実証済みです。
とはいえ、個人個人にできることといえば、小さなことからコツコツと…しかありません。照明やテレビはこまめに消す。水の出しっぱなしはしない。マイバッグを使い、極力公共交通機関を使用し、ミドリを増やしてヒートアイランドから少しでも抜け出す。
ごみの分別も大切です。
最近は分別もさらに細分化されて、違反すると持って行ってくれなくなりました。
那覇市の場合「もやすごみ」「もやさないごみ」「有害・危険ごみ、乾電池」「資源化物」「粗大ごみ、スプリング入り製品」の五分別です。
そんなことを考えていたとき、自治体によって焼却処理するごみの呼び名が違うことに気が付きました。そこで47都道府県の県庁所在地(東京は23特別区)の生ごみを含む焼却可能なごみの呼び名を調べてみました。
東京23区は「可燃ごみ」が11、「もやすごみ」が12と拮抗しています。
そのほかの府県庁所在地では、「もえるごみ」が8自治体。可燃ごみが10自治体、「もやせるごみ」が15の自治体、「家庭ごみ」が2自治体、普通ごみ」が2自治体、「焼却ごみ」が1自治体。そして「一般ごみ」としているのが1か所です。
「家庭ごみ」「一般ごみ」はかなりファジーな感じですが、そのほかのものを大まかに分類すると、「燃やす」「燃やせる」「燃える」の三つに分けられます。
「燃やす」は主体者の圧倒的な意思を感じます。何が何でも燃やすのです。
「燃やせる」は、まあ可能か不可能かと問われれば、そりゃあ燃やしますなあ…というイメージです。
「燃える(可燃を含む)」は、主体者の意思というより、ゴミ「それ自体が乾かしたら燃える」という印象です。
呼び方が違うのにはそれぞれの理由があるのでしょうが、沖縄でも那覇は「もやす」、隣の豊見城市は「もやせる」と表現が違うのには、地域事情も含まれている気がしてなりません。
那覇市は南風原町とともに「那覇・南風原クリーンセンター」でごみ処分に対応しています。
一方、本島南部6自治体(南城市、糸満市、豊見城市、八重瀬町、与那原町、西原町)のごみは、それまであった施設が老朽化し、建設地を募集しましたが手が上がらず、新たな最終処分場を建設中の南城市を除く5市町で施設の候補地を募ったがこれまで応募はなく、建設地をどうするかで頭を抱えていました。
2019年に八重瀬町の畜産農場あとに作ることが報道されました。それが「くじ引き」だったらしいんですよね。南城市に作る処分場も15年くらいが限度らしく、このあとは西原町、豊見城市、与那原町、糸満市の順番に対応していくんだそうです。ごみ対策は防災と双璧といっていいかもしれません。
ということで、こういう事情ならこの6市町は「もやせる」か「もえる」で「もやす」ゴミという呼び名はないだろうと思って調べたら、与那原町は「もやすごみ」でした。ただ与那原町には2018年まで地元にゴミ処理施設がありました。
いずれにしても焼却処分するのですから、ゴミを減らすことも温室効果ガスゼロへの一歩。それをどうビジネスにしていくのかが、今後のテーマだという気がします。