ガイライシュ
鯉は外来種なのだそうです。もともとは中央アジア原産。「お堀の水全部抜く」と太ったヤツが大量に捕獲されますよね。ずっと以前「旧・東南植物楽園」に行ったとき、大きな池で鯉とアヒルが恐怖を感じるくらい餌を奪い合っていた光景が印象に残っています。はるか昔に中国から導入されたのでしょうが、長いこと居つくと、外来種か在来種かわからなくなってしまいます。
外来語も、日本に入って時間がたつと漢字を当てはめられて、すっかりどうかしてしまいます。
「ガラス」は外来語が日本風に発音されて定着した例。「ガラス状になる」というときのガラスと、「窓ガラス」という風に材料として言う場合があります。飲むときに使う入れ物は「ガラス」でできた「グラス」です。
最近は「ズボン」と言わず「パンツ(しかも平板)」というようですが、もとはフランス語の「ジュボン」。旧幕府陸軍はフランスの軍事顧問を雇っていましたから、その時の兵装から定着していったのかもしれません。ちなみに“洋袴”のことをパンツというのはアメリカ英語。UKでは違うらしいですね。
驚くのは思い切り「和」の世界にも外来語が定着していること。
和服の下着である襦袢(じゅばん)。アレってもともとポルトガル語です。
一時期、県外から沖縄に来た本土人のことを「うちとんちゅー」と言っていた方がいましたが、定着はしませんでした。コトバは無理につくって放り込んでも馴染まないのかもしれません。それは憧れを持たさないためにと深夜に爆音をとどろかせる輩のことを「珍走団」と呼ぶ運動が広まらなかったのと同じでしょう。我が家もそうですが、沖縄にも本土系の名字が増えました。戦前から沖縄に住んでいる方。奥様のふるさとに移住された方。さらには戦後「改姓」して本土風の名前になった方もおいでになります。
自然界の生き物の場合は生態系を壊してしまうので、池や川に放流するなどもってのほかですが(沖縄は暖かくて定着しやすい)、ヒトの場合は地域に根差していきます。今後も移住される方は増えると思います。ただガイライシュと言われないように、地域の「文化」「伝統」「言語」を壊したり、勝手に変更したりしないように、理解する気持ちを持ち続けないといけないと感じます。