忌みコトバ
いくらオシャレだからと言って、中国の人に「時計」や「傘」をプレゼントしてはいけません。といいうのも同じ発音で意味が違う言葉がたくさんあるからです。
中国語で「時計を贈る」ことを「送钟」(sòng zhōng ソンジョン)と言いますが、同じ発音で「お弔い」という意味があるのです。「親の死に水を取る」という意味。大変不吉なことを連想させる言葉なのです。
また、「傘」は、“関係を壊す”とか“散り散りになる”という言葉と発音が同じ。
そう考えると、時計を贈られたら明らかに嫌がらせと受け止めるでしょう。
また、ミドリの帽子は「連れ合いを寝取られた」という意味があるんだそうです。そこでクロネコヤマトの中国法人の帽子は緑じゃないそうです。
日本にも「忌みことば」というのがあります。結婚披露宴のあいさつなどで、晴れの日にふさわしくないからと、避けて通るコトバです。
「別れる」「割れる」「裂ける」「終わりに」「最後に」「これで終了」「二度三度と」「繰り返し」「重ねて」「もう一度」「何度も」…
お祝いの席で行う「鏡割り」も、プログラムでは「鏡開き」ですよね。開く行為はどこにも存在しないけど。
とはいえ、最近はあまり皆さん気にしていないようですね。来賓の方でも、
「重ねて申し上げますが、お二人の幸せでありますように、では最後に…」
とくにこの「最後に」という言葉は、もう解放されてしまった感があります。
商売人はとりわけコトバを意識してきました。
酒のアテの定番、「するめ」は「あたりめ」。
葦(あし)で作ったすだれは、「よしず」。
すりごまは「あたりごま」というそうですが、ここまでくると胡麻なのか、当たり付きのコマなのかよくわかりません。
ただ、地名の場合は、もともと何と呼ばれていたかを知っておくことは大切だと思います。
大阪の中心街・梅田は、もともと「埋田」と呼ばれていました。湿地帯を埋め立てて造った土地だからです。字面が悪いからと「梅」の字に替えられました。東京の築地は文字があらわす通り埋め立て地ですが、もんじゃ焼きで有名な中央区の「月島」は、もともと「築島」で、埋め立てて造られた「島」だったようです。「月」の美しい場所ということではなさそうです。