コロナ禍のコトバ
昔の年末年始特番で、たけしさんとタモリさんとさんまさんのゴルフ対決というのがありました。 もちろん、真剣勝負ではなく、しっかり笑いの要素が入ったものです。
その中に「日本語を使ったら減点」というルールがありました。
ゴルフというスポーツは、イギリス発祥ですから基本横文字だらけです。
パー、バーディ、イーグル、ボギー、ダブルボギー、フック、フェード、ドロー、セカンド、パター、バンカー、ラフ、フェアウェイ。ティーショット、ホールアウト、オナー、ライ、ドライバー、サンドウェッジ、ピッチングウエッジ…。
これをすべて日本語に置き換えてやるわけですから、大変です。ドライバーは「ねじ回し」、サンドウェッジは「砂用の道具」だったでしょうか。素人がやったら、おそらく無口になるでしょうが、そこは御三方ともお笑いの神様ですから、時々減点を食らいながらも、うまいこと言い換えてゴルフを楽しむ。「さすがだな」と思いながら見ていました。
最近のニュースも平仮名と漢字だけで書かれたものはまずないでしょう。
とりわけ新型コロナウィルスの感染をめぐっては、
パンデミック(世界的大流行)
クラスター(集団感染)
オーバーシュート(爆発的な患者増加)
ソーシャルディスタンス(社会的距離=2m?)
ロックダウン(都市封鎖)
トリアージ(災害時等の治療優先順位)
サーベイランス(監視制度)
スーパー・スプレッダー(多数感染拡大の源となった患者=中国では「独王」というらしい)
テレワーク(情報通信技術を使った在宅型勤務)、
エビデンス(科学的根拠)
…など数多くの新用語が登場し、そこにこれまでも使ってきた
フェーズ(段階・局面)
スキーム(枠組みのある計画)
タスク(与えられた仕事)
バイアス(先入観)
パラダイム(ものを見る目や考え方)
レスポンス(回答・応答)
インセンティブ(行動につながる刺激、動機づけ)
アジェンダ(計画、議事日程)
インフルエンサー(影響力のある人)
といった用語も入ってくるのでさらに「カタカナ」は増えます。それに加えて、「三密」とか「5つの小」とか「緊急事態宣言」など、2020年から21年にかけて、様々な聞きなれない言葉があたりまえで使われるようになりました。
「コロナ禍」というコトバも当たり前になりましたが、ずっと「コロナ下」だと思っていた人もいるようですし、中には「コロナうずって怖いね」なんて誤読も聞きました。
「ハンコ削減」を訴えた大臣も、「日本語に置き換えられるものは置き換えて」と指摘していましたが、こういう時期は放送などにおいてもストレートに「心に」飛び込む言葉が必要だと思います。
「ワンチーム(目的を一つにした集団)」になるには、コトバに踊るのではなく。明確で万人にわかりやすいコトバと、大声ではなくとも伝わる話し方が大事ではないでしょうか。
コロナ禍が過ぎ去っても、2019年までと全く同じ社会には戻らないかもしれません。実際、「リアル授業【対面式授業】」が難しい時代ではあります。しかし、「声の力」「コトバの力」はなおさら重要度を増してくると思います。
可能な限り、「対面」も頑張りながら、アナウンス塾を進めていきたいと思います。