数詞
数詞というのは、確認しておかないと意外に間違えて覚えていることが多いものです。先日もエレベーターに乗っていたら自動音声が「サンカイです」と言っていました。「三階」は「さんか゜い」が正解です。「が」は濁って鼻濁音にしなくてはなりません。「イッカイ」「ニカイ」「サンカ゜イ」「ヨンカイ」「ゴカイ」「ロッカイ」「ナナカイ」「ハチカイ」「キュウカイ」「ジュッカイ(じっかい)」です。公共交通機関の中で流れるコマーシャルなどは別として、エレベーターでこうしたミスを発見したのは初めてでしたから、ちょっと驚きました。
回転ずしにいったとき、食べた分だけ空のお皿が重なりますよね。「皿」で数えるときは、「ヒト」皿。「フタ」皿。以下、「ミ」「ヨ(ヨン)」「イツ(ゴ)」「ロク」「ナナ」「ハチ」「キュウ」「ト(ジュッ)」と数えます。でも、数える単位が「枚」になると変わります。「イチ。ニ。サン。ヨン、ゴ。ロク、ナナ、ハチ、キュー、ジュー」です。その証拠に「番町皿屋敷」のお菊さんも「一枚、二枚…」と数えています。同じものでも単位が別というのが難しいところですね。
単位の名称そのものが変わってしまったものもあります。例えば天気予報に出てくる気圧の単位。今はhPa(ヘクトパスカル)で表しますが、およそ30年前までは「mb(ミリバール)」でした。当時、日本で国際基準とは違う「ミリバール」を使っていたので、国際基準の「ヘクトパスカル」に合わせたんだそうです。パスカルは“人間とは考える葦である”のパスカルで、ヘクトは基礎となる単位の10²に相当することを示す接頭詞です。言い方が変わっただけで計算しなおす必要があるわけではないのですが、変更されたときは、思わず「ミリ…」と言いかけてしまったりして訂正したものでした。
お金などはもっと困るでしょうね。今は「円」が基準ですが、これは明治になって単位を「両」から「円」に替えたことによるもの。そして10進法が採用されました。江戸時代の貨幣は、小判1枚が一両で、一分金4枚で一両。真ん中に四角い穴が開いている寛永通宝。野村胡堂原作で、何度もドラマになった銭形平次が犯人を捕まえるときに投げていたコインです。真ん中に四角い穴が開いてるんですね。その穴にひもを通して、いざというときに平次が投げるんですが、コドモのころ、投げたカネはあとで下っぴきの「八」が拾いに行ってたんだろうかと考えたものでした。お金の価値は物価とともに変わるんだと思います。落語に出てくる「二八そば」は「具」が入って十六文ですが、こういうことを調べている人によると、江戸末期(幕末動乱の時期を除く)は掛けそばが十六文だったということで、いま立ち食いのかけ蕎麦(日本そば)が300円ちょっとですから。一文が20円とか25円くらいの感覚でしょうか。この時代だったら2000円札が出てきてもごく自然に受け入れたかもしれませんね。