ニホンかニッポンか
よく「これはニホンと読むのですか、ニッポンと読むのですか」ときかれます。
基本は「ニッポン」だと思いますが、決まりがあるわけではないようです。ただ、使われ方を見ていると、方向性は見えてきます。
様々な競技で日本代表を応援するとき、スタンドから聞こえるのは「ニッポン」コールです。これには二つの理由が考えられます。
一つは「ニホン」だとゴロが悪いこと。「Nippon」の中にある“促音”つまり小さな「っ」「ッ」が効いているのです。そこで詰まることによって後に続く破裂音の「ポ」も生きてくる。「ニホン」だと優しい響きすぎるんですよね。
もう一つは、戦う相手が外国であるという理由です。国の代表であるから相対するのは基本海外の代表選手。外交の場やスポーツの国際大会などで「日本」というときの発音は明確に「ニッポン」です。
しかし、固有名詞に決まりはありません。
「日本銀行」「日本体育大学」「プロ野球日本シリーズ」「日本国民」「日本武道館」「日本製粉」などは「ニッポン」と読みますが、「日本サッカー協会」「日本大学」「日本海溝」「日本酒」「日本相撲協会」は「ニホン」と読みます。
ややこしいのは同じ名称で違う読み方をするものがあること。
江戸時代五街道の出発点だった東京の「日本橋」は「ニホンバシ」ですが、大阪道頓堀に架かる橋と周辺の商業地帯は「ニッポンバシ」。
同じ理由で困るのは「苗字」でもあります。「東海林」さんは「しょうし」さんだったり「しょうじ」さんだったり「とうかいりん」さんだったりします。
沖縄でも「新垣」さんが「あらかき」「あらがき」「しんがき」「にいがき」と確認しないとわかりません。「新城」が「あらしろ」さんか「しんじょう」さんかもそうです。
以前、「新屋」さんに、「お名前は『しんや』さん、『にいや』さん『みいや』さん、どうお読みするんですか?」とお尋ねしたら、帰ってきた答えが「どれでもいいです」。これが一番困ります。