迫りくる…
NHKの放送文化研究所によると、「外来語を支持」もしくは「外来語増加に賛成」が6割程度になっているのだそうです。和製英語についても許容する意見が半数を超えるんだとか。たしかに「コンテンツ」や「スキル」などはかなり一般化しました。
「お転婆」という言葉ももとはオランダ語なんだそうですから、当たり前になると疑問も感じないのでしょう。私などは「婆」が転ぶのに若い女性に使う「オテンバ」というコトバには何となく違和感を持っていました。
最近急速に認知された言葉と言うと「インフルエンサー」や「エビデンス」でしょうか。前者はSNSの普及で、後者はコロナの蔓延で定着しました。
最初は私も戸惑いました。「インフルエンザ」が影響力を持つととはどういうことか…。「ダイバーシティ」とはどんな都市なのか…(笑)。
「サブスク」(subscription)も若年層から始まって、あっという間にメディアで認知を得たコトバでしょう。こいつは新たに登場しただけでなく短縮形になっています。
商品や映像視聴などのサービスを一定期間決まった金額で利用できるシステムです。昔だったら「定額制」と言ったかもしれませんね。
ただ、こうした“新”外来語の出現と定着が、コロナ以降加速しているように思います。
SF作家の小松左京さんが書いた短編「迫りくる足音」。世の中を支配する若者のコトバが短時間で変わり、それに無理についていこうとする老人が切り捨てられるという読後感がどんよりする物語。
今のコトバの変化はそこまでではないでしょう。しかし、山にこもって3年4年、一般社会から隔絶された生活を送ったら、相手のコトバが理解できなくなっているかも知れません。
野球のラジオ中継でも、イニングと対戦カードと得点はかなりしつこく伝えます。新たなコトバであれば、放送でも講演会でも、随時「言い換え語」を入れていく工夫がほしいものです。